ガラスのブルース僕の中学校にあるハーフの子が転入してきた。ガラスの目をした女の子。 その子の趣味は唄。 そのくらいしかしなかった。 でも、その女の子は大きな声で歌う。 でも、その声は遠くまで響く鈴のような、リンリンとした歌声だった。 その女の子の名前は、サリア。 外見からしては、日本人顔。 いわゆる、ホームスティっという感じで、外国に居たらしい。 サリアと僕はやっぱり住む世界が違うからめったに話さなかった。 サリアは普通に女子たちと楽しそうに話す。 授業が終わって昼休みになったときに、女子たちはみんな音楽室に行った。 僕はやっぱり、唄とかには興味ないから、友達と野球をしに、外にいった。 サリアの歌声は、外まではっきりと響いていて、聞こえた。 澄んでいて、空や、水に溶け込んでいくような声。 僕はその声をずっと聞いていたら、サッカーボールが顔に・・・(笑) 「大丈夫かーー!!」 「大丈夫!!」 「ぎゃーーーー!鼻血出てる出てる!!」 「あーーーーーーーーーーー!」 ************************************ 鼻血&貧血で午後の授業は受けれなかった。 保健の先生は、用事のため職員室に行ってしまい僕だけになった。 しばらくしてから・・・・・ 「失礼しマース」 ガバッ!!!!(布団から起きた音) 「あ、えっと・・・たしか・・・」 「藤堂です・・。」 「あ!そっか!藤堂 春燈君!!」 「そうだよ・・・保健の先生なら、職員室だよ」 「ううん、違うの。先生に藤堂君にプリント持っていってって言われたから 持ってきたの!」 「そう、ありがとう」 (あぁ・・・今日はいい日だ・・・) 「ところでサリアちゃんは、なんで唄がすきなの?」 「さぁ?なんとなくかね。」 「なんとなく・・・」 「でもね、私は私なりにいっつも精一杯唄を歌うよ。」 「そうなんだ・・・頑張ってるんだね。」 「うん、唄が私の生きがいだから。」 こうして僕タチの初めての会話が終わった。 サリアはまるで、捨て猫のようだった。 短い命でも、一秒も無駄にせずに大切なイマを生きている。 「生まれたことにイミがある・・・」 そう言った彼女。 「生まれても、いつかみんな死んじゃうでしょ?でも私たちは星になるだけだから。死ぬことは怖くない。」 「怖くない・・・か・・・」 「だから私は、その日が来るまで、唄を歌い続けるわ。」 ・・・僕にはイミがわかんなかったんだ。 わかんなかったからこそ、彼女・・・いや、サリアが死んでこんなにも悲しいんだ。 一目惚れ・・・だったのかもしれない・・・。 でも、僕はなにも出来なかった。 サリアは一生懸命自分の死期が近づいていることを伝えていてくれていたのかもしれない・・・。 イマはもう、外でサッカーをしていても・・・ あの、大きく綺麗な声は聞こえない。 ガラスの目をした猫は星になったんだ。 綺麗な、大きな声も止まった。 彼女の時間も止まった。 命のカケラも燃やし尽くしてしまったネ… 得意のブルウスも聴けないネ いいんだ、声が聞けなくてもいいんだ。 だって、もう・・・ 君の歌っていたブルウスは僕の心の中に刻まれたんだ。 どんなに辛くっても、苦しくっても・・・ 僕はサリアの分まで生き抜いて見せるさ・・・ テーマ曲 BUMP OF CHICKEN 「ガラスのブルース」 |